第4話 レンゲのしとね あの時僕は小学何年生だったのだろう? 多分、三年生か、あるいは二年生だったかもしれない。とにかく新しい学年が始まって間もない春の日。家庭訪問で担任の先生が家にやってくるという日だった。 学校は午前… 続きを読む 第4話 レンゲのしとね
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第3話 地面の湖
第3話 地面の湖 風呂上がりに二階の自分の部屋に上がり、窓を開けてベランダに出た。乾いた普通サイズのタオルでもう一度髪をかき回し、それを肩にかけて「ふう」と息をついた時、目の前が一面、湖になっている事に気付いた。僕は正… 続きを読む 第3話 地面の湖
第2話 犬の話
第2話 犬の話 その日以来、僕は犬が怖くなくなったんだと思う。 夏休みの入る少し前だった。学校の帰り道にある農家の垣根の向こうに、小さい蜜柑の実がたくさんなっているのに気がついた。つい最近まで白い花が咲き、ほんのり甘い香… 続きを読む 第2話 犬の話
第1話 手帳の鉛筆
第1話 手帳の鉛筆 そう言えば、窓の外の木の向こうには小学校のプールほどな池があった。夏のはじめ頃だったと思う。誰かに誘われて、その家に遊びに行くという体験は転校する前もなかったのだから、ようやく新しい学校に慣れて友達と… 続きを読む 第1話 手帳の鉛筆